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相談員から一言 バックナンバー

『ミス・マープルをご存知ですか?』

 私が産業医になってから18年経ちました。最初は製造業で16年、現在の勤務先である横浜市役所に移ってから2年になりますが、最近職員への対応を検討する時以前に経験した同じような事例を引き合いに出して考えている場面が多いことに気づきました。
 もちろん同じような状況でもそれに対する反応には個人差がありますが、意外に同じパターンの行動をとる場合が多いことも事実で、「あの時はどう対応したかな」と反省も交えつつ、参考になることも多々あります。そんなある時、「あっ、これはミス・マープルの思考だ!」と頭に閃きました。
 
 ところでミス・マープルをご存知ですか?
 推理小説に興味のない方は全くわからないと思いますが、ミス・マープルはアガサ・クリスティーの小説に出てくるイギリス人の素人探偵です。実は私は学生時代推理小説に凝っていた時期があり、特にアガサ・クリスティーが好きで彼女の小説は殆ど読破したくらいでした。ちょっと自意識過剰なベルギー人の探偵エルキュール・ポアロが論理的に犯行を分析するシリーズも好きですが、一番のお気に入りはミス・マープルのシリーズです。このミス・マープルはセント・メアリ・ミードという小さな田舎の村に住む未婚のおばあちゃんですが、殺人事件に遭遇すると警察の捜査を尻目に毎回独自の推理で事件を解決してしまいます。彼女は非常に鋭い人間観察から事件に深く関わる人たちを「肉屋の小僧をしていた○○を思い出したわ。」というふうに自分の村の住人に例えて、その行動パターンを推測することで事件解決の糸口を見つけていくのです。

 ミス・マープルほどではないにしても、過去に経験した似たような事例を参考にすることがメタボやメンタルの対応に結構役立っています。その経験の引き出しを増やすためにも、面接や巡視だけでなくイベント等に積極的に参加するなどなるべく多く職員と接する機会を作ることをいつも心がけています。

 余談ですが、アガサ・クリスティーは世界中を旅行しており、小説にも様々な国や風習が魅力的に描かれています。実は映画にもなった「ナイル殺人事件」に出てくるナイル川クルーズに魅せられて数年前にエジプトに行ってしまいました。それで、もうひとつの代表作「オリエント急行殺人事件」で有名なロンドン~イスタンブール間を走るオリエント急行で旅することが今の夢です。
 
(文責)相談員  髙畑 玲子
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