本文へ移動

相談員から一言 バックナンバー

『管理濃度が近々(4月頃)変更される予定です』

 衛生管理スタッフの独り言「許容濃度は知っているが管理濃度は聞いたことがないので関係ないから、飛ばして次を読もうかな・・・。」
 
 いえいえ、ちょっと待ってください。読者のなかには、有害物質を取り扱っている事業所の方も多数おられるのでないでしょうか、当然、そのような事業所では作業環境測定を行なっているでしょう。
 
 管理濃度とは作業場の作業環境管理を進める過程で、有害物質に関する作業環境の状態の良否を判断するために、作業環境測定結果から管理区分を決定する際に使用される指標であり、厚生労働省から出される行政濃度です。一方、許容濃度は日本産業衛生学会から勧告・提案されている濃度であり、基本的な考え方は米国のACGIH(American Conference of Governmental Industrial Hygienists)のばく露限界思想を取り入れたもので、TLV(Threshold Limit Value,閾値)はこのACGIHから勧告されています。
 
 さて、そんな前書きはともかく、今回の管理濃度の改正では、粉じんやトルエン、フッ化水素などの化学物質の管理濃度が変更される見込みです。ちなみに、粉じんの管理濃度は現行の3.0/0.59Q+1 mg/m3から3.0/1.19Q+1 mg/m3に、Qは当該粉じん中の遊離けい酸含有率を表す。また、トルエンの管理濃度は現行の50ppmから20ppmに引き下げられる予定です。
 
 と言うことは、今まで作業環境が良好と判断される第1管理区分の作業場であっても、改善の余地が残される第2もしくは改善の必要な第3管理区分となることが大いに予測されます。
 
 したがって、衛生管理スタッフのみなさん、直近の作業環境測定結果報告書(証明書)から、変更予定の管理濃度を用いて、管理区分を再評価してみてください。その結果、第2もとくは第3管理区分になるようでしたら、安全衛生委員会や職場巡視を通して、事前に局所排気装置の性能などを再点検してみてはいかがでしょうか・・・、管理濃度が改正されても慌てないように今から万全の準備をしてください。
 
 
管理濃度の改正案に関する詳細については厚生労働省ホームページのパブリックコメント(平成21年1月23日)
 
 
及び管理濃度等検討報告書(平成20年10月27日)
をご参照ください。
 
相談員(衛生工学)芦田敏文
TOPへ戻る