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相談員から一言 バックナンバー

『作業室の全体換気について』

 換気には、いわゆる換気扇が多く使用されています。この換気扇を用いる換気は、全体換気または希釈換気といい、きれいな空気を室内に入れ、室内で発散している汚染物質を希釈しながら排出することです。この全体換気は、室内の温度や湿度を下げるのにも用いられます。
 
 ファンを用いる全体換気は、機械換気とも呼ばれ、次の3つの方法があります。同じファンであってもファンの吹出し空気を使用する場合は送風機、吸込み空気を使用する場合排風機として機能します。
 
1、 排風機を用いて室内の空気を排出し、給気口から室外の空気を流入させる方法
この方法は、室内の気圧は室外より低くなります。したがって室内で発生した汚染物質が隣接する部屋等へ流出するのを防止できます。
 
2、 送風機を用いて室内に室外の空気を送風し、排気口から室内の空気を流出させる方法
この方法は、室内の気圧は室外より高くなります。したがって室外の汚染物質の室内への流入を防止できます。
 
3、送風機を用いて室内に室外の空気を送風すると同時に排風機を用いて室内の空気を室外へ排出する方法
この方法は、送風機、排風機の能力に差をつけることにより前述の1又は2のどちらの機能ももたせることができます。
 
 前述の1の方法について、室外から粉じんなどの粒子状物質の侵入を防止するため給気口にフィルターを取り付けた場合に換気能力を維持するための注意事項について述べてみます。
 
1) 排風機と給気口は、室内全体に給気が行き渡るようにできるだけ離れた相対する位置に取り付けることが望ましい。
2)フィルターが目詰まりし、給気量が減少して換気能力が低下します。そこで差圧計を取り付け、室内外の気圧差を測定し、所定の静圧差に達した場合には、フィルターの清浄または交換をしなければなりません。
3) フィルターがある程度目詰まりしても所定の排風量を確保するためには、ある程度減圧にできる排風機(有圧換気扇、シロッコファン等)を設置する必要があります。
 
相談員(衛生工学)阿部龍之
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