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相談員から一言 バックナンバー

『現場における熱中症予防対策について』

今年の暑さは異常である。総務省消防庁の発表資料によると、7月19日から8月22日までに熱中症による救急搬送状況を見ると、全国で35342人となっている。7月19日からの1週間で9901人、次が5600人、次の1週間が7136人、8月9日から8月15日の1週間が3446人となっている。5月31日から8月22日まででは41020人が救急搬送されている. その内の約80パーセントが7月19日からの5週間に集中していることになる。8月22日現在では初診時における傷病程度をみると死亡が145人、重症が1438人、中等症が14448人と報じられている。熱中症による死亡者数も8月22日現在145人となっているが消防庁の資料統計は救急搬送された段階での初診時において確認されたデータであり暫定値とされている。従って、実態としてははるかに多い人たちが熱中症にかかっていると考えられる。年齢的に見ても60歳代以上の人が約半数を占めているというデータがあるが50歳代以下が半数を占めていると言うことである。

 このような状況の中で平成22年7月27日、厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課長名で「職場における熱中症予防対策の徹底について」が通達された(基安労発0727第2号)職場における
①作業環境管理として冷房等によるWBGT値の低減、休憩場所の整備等を図ること
②作業管理として休憩時間等の確保等
③健康管理として健康診断の実施等、日常の健康管理の実施等
④労働衛生教育
⑤救急処置として緊急連絡網の周知、救援隊の要請等
が示されている。

 私が関係している建設関係の現場での熱中症対策について参考までに概要を紹介したいと思います。現場の作業は有害物質である石綿等を含む建築材料の解体作業等を行っている関係上、安全対策と共に有害物質等に暴露することの無いように、事前に作業環境管理、作業管理、健康管理対策について、作業者全員について労働安全衛生教育を実施、作業計画書を作成し注文者の承認を得て初めて着工が許可される。管理監督者を選任し、その者に管理を委ねると同時に、作業者は全て作業主任者としての自覚を持ち、“自分の生命は自分で守る”をモットーに作業に責任を持たせるように指導されている。今夏の異常な暑熱作業については“現場における熱中症対策について”作業者全員に3時間の教育を受講させ、補給水の定期的な摂取等、現状の対策に加えて“作業時間の管理等の見直し”“補給水のあり方”現場で行うことが出来る“気温と相対湿度”を測定してWBGTの簡易的数値を求めて、作業時間管理に反映させることにしている。タイベック等の蒸気不浸透性つなぎ服を着用して作業するために熱がこもり易く、WBGT値への補正を行うことによって、作業時間等について細かく規制を実施することにしている。又補給水については0.1~0.2%の塩分を含んだものとして、保冷した状態で現場で補給できるように対策を実施している。更に緊急時の対策として“熱中症を疑ったときには何をするべきか”についてマニュアル化して責任者を決めて対応している。現場には体温計を常備し健康管理に役立てている。有害物質等を取り扱う作業においては通常現場では飲食の禁止が原則ですが作業を中断して補給水の摂取に努めている。

 この暑熱作業を乗り切るためには現場でのWBGT値の把握に努め、作業時間管理と休憩時間管理等を徹底させること、更に補給水をこまめに摂取すること等を含め管理に当っている。何れにしても日常生活における個人個人の健康管理を徹底させることが重要である。
 
参考資料:
(文責)相談員 白須 吉男
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