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相談員から一言 バックナンバー

『化学物質のリスクアセスメントについて』

 皆様よくご存知のように従来の災害対策は、災害が発生した後に対策を行う方法が主流でした。ハインリッヒの法則の1:29:300の主として「1」や「29」を減らすことに専念する方法がとられてきました。この方法はいわゆるモグラ叩きで、何時どのような災害が起るか予測できないものでした。そこで、「300」を対象とした「ヒヤリハット報告制度」や「危険予知活動」等で災害の芽を摘む方法がとられてきました。しかし、この方法も既にヒヤリハットで危うく災害になる状況になって初めて検討の俎上にのるものです。また危険予知活動は現場作業を中心にしたもので、限界がありました。

 リスクアセスメントは、ハインリッヒの法則の「300」の更に下に潜む災害の芽である危険性又は有害性をも含めて、全ての災害の要因を徹底的に洗い出して作業場にある全ての危険性又は有害性に取組む方法です。

 作業場にある全ての危険性又は有害性を洗い出し、リスクを見積り、作業場に潜むあらゆるリスクを明らかにします。例えば使用している全ての化学物質についてリスクアセスメントを実施し、リスクレベルを決定します。このようにすることで作業場の全てのリスクが見えて来きます。そのリスクの要因に対し対策を立てるものです。事業者は作業場の全ての災害のリスクレベルを知ることで、対策実施に対する意思決定が容易に行えるようになります。

 リスクアセスメント実施方法は、各事業所の作業方法や管理の仕方で多少異なるものと思われますが、主な方法として三つあります。一番目の方法は、既に化学物質を使用している作業場で作業環境測定の管理区分から、作業場のリスクレベルを決定し、対策を立てる方法です。二つ目は、初めてリスクアセスメントを導入する場合や新たな化学物質を採用する場合に、化学物質のGHSの有害性分類・区分及びばく露レベル区分等からリスクレベルを決定する方法です。三つ目の方法は、中災防の文献にあった方法ですが、作業環境測定データが管理濃度の何倍であるかにより作業環境濃度レベル区分を決定し、それからリスクレベルを求める方法です。この方法は改善努力の結果がリスクレベルの改善結果として現れ易く、実務を行う人々の励みになる方法です。実際に取組むと以外に易しい方法です。是非導入して下さい。
 
(文責)相談員 鶴岡 寛治
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