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相談員から一言 バックナンバー

『今年も節電の夏がやってくる~熱中症に気をつけて~』

 昨年の東日本大震災から、早一年が経過しました。

 昨年は、東京電力福島第一原子力発電所の事故で電力供給の低下がもたらされ、3月下旬には計画停電が実施され、事業所をはじめ、各家庭においても大きな影響を受けました。同年の5月には「夏季の電力需給対策について」が策定されて、東京・東北電力管内の需要抑制率:△15%が目標に設定され、照明・空調機器等の節電、操業時間の短縮、夏季休業の設定・延長・分散化の具体的取組を含む節電行動計画の策定・実施が求められました。その後の電力需給バランスの改善からいったんは平常化したところですが、昨今の原子力発電所の再稼動を巡る一連の動きの中で、今年の夏も節電対策を講じる必要に迫られております。

 また、厚生労働省は、昨年5月20日に「夏季の電力需給対策を受けた事務所の室内温度の取り扱いについて」を策定し、その中で、各企業がオフィスビル等の室温設定を見直す場合にあっては、まず室温を28度とすることについて改めて強く推奨、需要家の自主的判断により室温を29度に引き上げることもありうるとしており、その場合には、熱中症の発症の危険性や心身への付加が高まらないような工夫を行い、
適切な喚起や扇風機の使用等により風通しを良くするなど室内環境への配慮、作業強度の適切な管理などが行われるよう、需要家に求めております。

 そこで、熱中症を予防する観点から、平成21年6月19日に厚生労働省から出された「職場における熱中症の予防について」が非常に参考になると思われます。その重点項目にWBGT値(暑熱環境による熱ストレスの評価を行う暑さ指数)を活用して、職場における暑熱の状況を把握し、必要な対策を実施することがあげられます。

1.WBGT値の求め方 

  WBGT値(湿球黒球温度)は式(1)又は(2)により算出できます。
   ① 屋内の場合及び屋外で太陽照射のない場合 
     WBGT値=0.7×自然湿球温度+0.3×黒球温度 …式(1)
   ② 屋外で太陽照射のある場合
     WBGT値=0.7×自然湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度 …式(2)
  求められたWBGT値が、労働者の熱への順化(熱に慣れ、その環境に適応すること)の有無及び作業内容 等ごと定められた基準値を超える場合には、身体作業強度の低い作業への変更などの対策に努めるとともに、 下記の対策の徹底を図ること。

2. 作業環境管理

  作業場所の冷房等によるWBGT値の低減、休憩場所の整備等を図る。

3. 作業管理

   ① 休憩時間等の確保、身体作業強度が高い作業を避けることなどの対策に努める。
   ② 熱への順化の有無が熱中症の発生リスクに大きく影響することから、計画的に熱に慣れ、その環境に     適応する期間を設けることが望ましい。
   ③ 自覚症状の有無にかかわらず水分・塩分の作業前後及び作業中の定期的な摂取の徹底を図る。このた     め、摂取を確認する表の作成、巡視などを行う。
   ④ 透湿性及び通気性の良い服装等を着用させる。
   など

  そこで、衛生管理スタッフの皆さん、神奈川産業保健推進センターにはWBGT値を簡単に測定できる機器が常備されておりますので、熱中症の予防に役立ててほしいものです。
 
(文責)相談員  芦田 敏文
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