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相談員から一言 バックナンバー

『「情報ダイエット」再考』

カラフルな表紙・魅力的な題名の本が溢れる書店で,最近『情報選択の時代』という本を買った。

 その中に情報(摂取過剰)不安症、IOA(Information Overload Anxiety)という症状が出てくる。

 しばしば小生もこれに陥る。膨大な情報の洪水にアップアップ。あれもこれも読まなければと、雑誌、本、コピー、切抜きに埋もれてため息とただ呆然。
 
 そうした時いつも思いだすのは,『先生,情報整理の妙案は?』小生の愚問に対し恩師阿部正和先生は『能勢君,捨てることだよ!』と一言。

 今の自分にとって意味のある情報をセレクションする訓練を毎日積む以外には方法はないんだ。

 データに意味と目的を付加したものが情報で情報は使えなければ意味がない。データを情報に転換するには知識が不可欠であると教えて下さった。
 
 さて,自分は今何を知りたいのかな?と気を取り直し再々度『情報ダイエット!』、その次はアクセスが問題だ。
 ストックのデータはON-OFF演算のノイマン型器械にまかせ,renewableでフローな情報を手元に残していこう。

 『百冊の本を読むより百人の人に会え,つまらぬ人間に百人会うより,秀れた人間一人に百回会え』と故小泉信三氏の言われたがごとく、凡人の小生にとって今大切なのはニューロコンピュータを頭に持った人々へのアクセスをいかに増やしていくかということだろうか。
 
 これは二十数年前、某医師会報に寄稿した文章である。当時はポケットベル時代、電車の中で同じ呼び出し音(ピーピーピー)が鳴り響き、同時に何人もの人が腰に手をやっていた。

 当然携帯電話なるものもなし、移動通信の手段としては強面のおじさんが黒塗りの自動車から外へ出て、肩から大きな箱をぶら下げて電話していた。

 パソコンについては、普通のユーザーはスタンドアローンとしてワープロソフト、データベースソフトなどをマイクロソフトのMS-DOSで動かしていた。

 フロッピーディスクは8インチ、5インチ、3.5インチと小さくなっていった。 ハードディスクにいたっては1M 1万円であった。いまでは32Gのメモリースティックがお財布に入る時代である。
 
 さて生活はどう変化したのだろう。WEBで世界とつながり、楽天、アマゾンでほとんど物は実店舗に行かず家に届く。

 私は疲れるのでしないが、電車に乗ると、半数以上のひとが携帯電話、スマートフォンを操作している。

 何か解らないことがあるとすぐWEBで検索してしまう。
 しかし検索が100万件もヒットしてしまうともう大変。グーグル等のサーチエンジンのフィルターを通過しているが、そこに書かれていることが本当に正しいのかは自分が判断しなくてはならない。
 
 それにしても最近本当に漢字が書けなくなった。考えること、考える時間が少なくなった。

 肝心なのは自分がほしい情報とは何かを十二分に時間をかけて考えることが大事だ。ということなのだろう。
 
(文責)相談員  能勢 俊一
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