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産業保健看護職のひろば

相談員コラム

産業看護職に必要な支援「セルフ・コンパッション」について
2023-11-20

産業看護職に必要な支援「セルフ・コンパッション」について

                        相談員 中野 みどり

 

先日、研修会を企画している産業看護職中心の委員会の中で、「スキルアップの研修会も大切だけれど、看護職自身が癒される研修もしてみたい。」という意見が出たのを皮切りに、共感する意見が多数出ました。

産業看護職は、専門職として大切にしたい想いや使命を抱きながら、現場で感じるストレスや、組織風土、求められるありかたや価値観等との葛藤の中、ストレスや負担を感じているかたも多いのではないでしょうか。また、人と関わりを持って仕事をしていく上で、他人の苦痛に対してあたかも自分の苦しみのように感じる事で、共感疲労を起こすリスクがあるそうです。共感疲労は生産性の低下や離職率の増加によって、職場環境にも影響を及ぼすと言われているそうで、その共感疲労を起こさないために、「セルフ・コンパッション」が有効とのこと。

米国テキサス大学のクリスティン・ネフ准教授が提唱する「セルフ・コンパッション」とは、「愛する人に対する思いやりや、労いと同じ気持ちを自分自身にも向け、状況に関わらず自分を素直に受け入れること」と説明しています。つまりセルフ・コンパッションとは、愛する人と接するのと同じように自分を大切にし、自己肯定感を高めることを指します。

 

(以下、看護師のためのセルフコンパッショントレーニングに関する文献検討より引用)

○セルフ・コンパッション3つの構成要素

  1. 自分に対して厳しく批判したり 裁いたりしない「自分への優しさ」
  2. 自分だけが 苦しんでいると思って孤立するのではなく,人間は誰しも同じ経験をもつという  

「共通の人間性」を認識すること

  1. 今この瞬間に起きていることをはっきり見て,判断を加えずありのまま受け入れる「マインド

フルネス」

○セルフ・コンパッションが高い人

  1. 自己批判傾向や 完璧主義傾向が低く,自己受容性が高く,またメンタルヘルス面においては,抑うつ,不安が低く,肯定的感情と人生満足感が高いという研究結果がある。
  2. ネガティブなことがあってもストレスを受けにくいことが示されている。
  3. セルフ・コンパッションの効果は,マイナスのフィードバックを受けた後に改善努力を続けようとする意志の強さ,「成長のマインドセット」を支えるともいわれている。

 

誰でも「不安に考えても仕方がない」とわかりつつも思いつめてしまうことが沢山あると思います。そんな

時は「そういえば、セルフ・コンパッションというのがあったな」って思い出してみてください。

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